世界に誇る日本の「BONSAI」
盆栽=BONSAI
日本が世界に誇る文化。
1990年代頃から、「BONSAI」の名で海外で評価されるようになりました。
日本で盆栽と聞くと、おじいちゃんの趣味を彷彿とさせるかもしれません。
確かにあまり若いイメージはないですよね。
やはりサザエさんで見ていた「波平さん=盆栽」のイメージが強いのかもしれません。
でも、フランスやイタリアなどでは、最先端な若者が「BONSAI」に夢中になっていることは珍しくありません。
オランダ、スペイン、アメリカ、中国、台湾などでも人気があります。
「BONSAI」からアートを連想する人が多く、盆栽はクールなんです。
財務省の貿易統計によれば、盆栽の輸出額は、2004年に9.8億円だったものが、2013年には約10倍の94.3億円になりました。
JETROの統計は数値が違いますが、10年間で約10倍のマーケットになったことは間違いありません。
そして2016年までほぼ横ばいです。
盆栽の魅力って何でしょう?
簡単に言えば、自然の風景を人工的に生み出すことが盆栽の醍醐味です。
究極的には、小さな鉢に植えて、その自然の姿を残しつつ愛情を持って育て、大自然の趣を再現するアートです。
長く育てれば育てるほど愛着もわきますし、中には樹齢100年以上の盆栽も存在します。
私の周りには、オフィスのデスクに小さい盆栽を置いて鑑賞を楽しんでいる人もいます。
葉や枝を自ら整えていけば、より美しい盆栽に仕立てることが出来て楽しさも倍増します。
盆栽愛が深まり過ぎて、盆栽を恋人のように名前で呼ぶ人もいます。
見つめあう二人が、あたかも恋人のようです。
ここが盆栽にハマる第一歩です。
盆栽には命があります。
そして常に変化し続けるアートです。
ヨーロッパの人が盆栽を崇高なアートとして捉えている所以です。
今、盆栽は多様化しています。
自然のシーンを写真のように切り取り、省略、誇張、虚しさ、怒りなど、あらゆる表現が許されます。
海外の人が盆栽にハマったことで、伝統的な盆栽に新たな発想や解釈が次々に生まれています。
「波平さん=盆栽」のイメージの名残で、盆栽は男性の趣味と思われがちです。
でも、若い女性の盆栽家が増えてきたことで、女性の間でも盆栽は身近な存在になってきました。
先日GINZA SIX内の蔦屋書店にて、「銀座 雨竹庵」の盆栽を直に観ることができる「BONSAI」展が開催されました。
そして「盆栽とは何か?」を明確に答えた、グラフィックデザイナーの原研哉さんの言葉がこちらです。
☟
盆栽と、自然に生えている木の違いはたった一つ。
それは「盆に乗っているかどうか」である。
大地から盆に移しかえられた途端、木は盆栽となり、
この木にとっての自然は、それを世話する人間になる。
だから盆栽を持つには、環境として振る舞えるかどうかの覚悟が必要になる。
自然を所有できるかどうかではない、自然になれるかどうかが、問われてくるのである。
さすがです。
完璧な答えがここにあります。
少し盆栽から話が逸れますが、2020年の東京五輪エンブレムコンペで惜しくも次点だった原研哉さん自身の作品が下記に紹介されています。
☟
ご存知の方も多いかと思いますが、原さんはグラフィックデザイナーとして海外からも高い評価を受けています。
多くの作品には必ずストーリーがあり、デザインそのものの美しさだけではなく、強烈な説得力があります。
小さな宇宙とも形容される盆栽。
それほど盆栽の世界は奥が深く、多くの人に感動を与え続けています。
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