安全とプライバシー

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子どもの頃、将来なりたかった職業は何ですか?


僕はかつて幼稚園でなりたい職業を書かされた時、前の子が「刑事」と書いているのを見て、同様に「刑事」と書きました。


正直何も思い浮かびませんでした。


その頃は将来のことなんて考えたことも無かったんです。




刑事と言えば、当時「太陽にほえろ!」が人気絶頂で、松田優作が演じる「ジーパン」が大人気でした。


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僕は人と同じなのが嫌で、誰が好きか聞かれると、いつも小野寺昭が演じる「殿下」と答えていました。

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「太陽にほえろ!」はまさに1970年代を代表する刑事ドラマです。



今でも刑事ドラマでは随所でこの伝統が受け継がれていますね。






ところでアメリカの警察ってどうなんでしょう?




アメリカは州ごとに法律が違い、原則的に警察はその州でしか捜査が出来ません。


例えばイリノイ州とインディアナ州は隣同士ですが、完全に別の国のような感覚です。




じゃあ州をまたぐ連続殺人犯の捜査や、州境での犯罪にどう対処していけばいいのでしょうか?




デンジマン?


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ええ。彼らならアメリカでも活躍できることでしょう。


デンジダッシュは100mを3秒で走れますし、10キロ先の音声も聴き分けますから。




気を取り直して、正解はFBI(連邦捜査局)です。


FBIは各州法に関係なく捜査をする権利を持っています。


複数の州にまたがる凶悪犯罪や、テロ・スパイなど国家を脅かす捜査にFBIはその権限を行使できます。




ちょうど日本で「太陽にほえろ!」の放映が始まった1972年。


アメリカでその年にFBI行動科学課が発足しました。


その前に「行動科学」とは何でしょうか?


人間の行動を研究対象とした学問です。


社会学、心理学、経済学、地理学、精神医学など、ありとあらゆる学問を駆使して人間行動の法則を体系的に考究します。




「プロファイリング」。

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映画やドラマなどでよく耳にしますね。


犯罪の特徴などを「行動科学」の視点から分析し、犯人の人物像を探り出すことです。


正確には「Criminal Profiling」と言います。


そして、プロファイリングと統計学は密接な関係にあります。


過去のデータ集積を分析し、犯罪をパターン化していきます。


沢山の質の高いデータがあれば、僅かな手掛かりから、より正確な犯人像が浮かび上がります。


僕らが理解不能な猟奇的犯罪こそ、この手法は効果的です。


いわゆるサイコパスのような特殊な人間の気持ちを探るには、科学的アプローチが有効なんです。


精神異常者やサイコパスに限らず、相手の気持ちに立つことなど到底不可能ですから。






1975年に第一回目が放送された「Gメン'75」。



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特別潜入捜査班「Gメン」と言う設定で、国際犯罪に挑む姿が非日常的で素敵でした。


「Gメン」「Government man」の略語で、元々は政府の役人のことを指していました。




通称「マシンガン・ケリー」と呼ばれたジョージ・ケリー。




アメリカの禁酒法時代に様々な犯罪を犯し、一躍時の人となったギャングの1人です。


FBIらが彼の隠れ家を包囲した際、彼は武器を手にせずその包囲網の前に現れました。


そして彼はこう叫びました。




「Don't shoot, G-Men! Don't shoot, G-Men!」(撃たないでくれ、Gメン!)




この事件を境にして、FBIの特別捜査官らがGメンと呼ばれるようになったのです。


当時の報告書によれば、実は彼は「撃たないでくれ、Gメン!」とは叫んでおらず、妻のキャサリンの作り話だと言う説もあります。


その他多くの説が存在しますが、FBIがGメン神話をイメージ戦略に利用したことは否めません。


「FBI特別捜査官」を商品として位置付けた一種のブランディングのようなものですね。




そんな現場の特別捜査官を陰で支える分析官の役割は年々重要になっています。


CIAでも分析官の活躍は目覚ましく、ビンラディン急襲の際に、その居場所を突き止めるまで分析官は大きな役割を果たしました。


1972年に発足したFBI行動科学課のような組織が日本で生まれたのは、2000年の北海道警察による特異犯罪分析班です。






犯罪捜査に活用されているプロファイリングの進化は留まるところを知りません。


それは国家規模の監視社会に繋がっています。


あなたが知らないところであなたの情報が集められるリスク。


監視社会は日本でも同じように進んでいます。


あなたが見ているウェブサイトやFacebookなど、あらゆる角度からデータは蓄積されていきます。


ビッグデータ(膨大なデータ)とAI(人工知能)が組み合わさることで、あなたの人物像は瞬時に導き出されます。




でも、そこに誤ったデータが含まれていたら?


あなたの人物像がプロファイリングによって歪んで描かれてしまった時、果たしてどうすれば良いのでしょうか?




堀部政男氏は著書である「現代のプライバシー」(1980年/岩波新書)の中でこう表現しています。


「あたかもいびつな金魚ばちに入れられて、ゆがんでみえる金魚のようなもの。」




堀部氏は、コンピュータ等の発達によって、自分の情報が他人に管理されかねない状況が現出しているとした上で、プライバシーの権利侵害の危険性を指摘しています。


更にこのことを「自己の情報をコントロールする権利」とし、基本的人権の一つとして確立しようとしたのです。


この本が37年前に書かれたとは感服です。


1980年代はAIどころかパソコンすら普及していませんでしたから。




堀部氏は、2015年6月に「Louis D. Brandeis Privacy Award 2015」を受賞しました。


プライバシーの分野で功績を挙げたことに対して授与される最高位の賞です。


一生涯かけて日本における情報法学の確立に尽くし、多くの意義ある問題提起をしてきたことは尊敬に値します。






犯罪を恐れるがあまり、安全を重視すればするほどプライバシーは無くなります。


そして、安全に暮らせるならプライバシーを犠牲にしても構わないといった意見もあります。


究極的には、国民全員にGPSを埋め込めば、簡単に犯罪者は見つかるでしょう。


でも、全国民の行動が記録されるような社会になれば、安全と引き換えにプライバシーは一切無くなります。






僕は日本より海外にいることが多く、いつも安全の確保を何よりも大切にしています。


安全とプライバシー。


丁度いいバランスって難しいですね。




数年前に若いFBI分析官と話をした時に、グランドセイコーの44GS復刻モデルを絶賛してくれました。

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究極にシンプルで日付表示機能が無いのが最高だそう。


彼が着けていたのはゴールドのパテックフィリップ製カラトラバでした。

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オーバーホールでは一切外装に手を加えないそうで、小傷がむしろ味わい深い雰囲気を醸し出していて粋でした。


後で聞いたのですが、お父さんの形見なんだそう。


同僚の分析官で、パテックフィリップのような高級時計をしている人は本当に少ないそうです。


大体はGショックかルミノックスあたりだそう。

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どちらも高級時計では無いですが、タフで実用性の高い魅力的な時計です。


ルミノックスは1989年にニュージャージー州で生まれた歴史の無いメーカーですが、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズに正式採用されるなど軍用で多くの実績があり、ただのお洒落時計じゃありません。


デザインも秀逸だし、もっと日本で人気が出てもいいですよね。


それじゃ、Happy Holidays!


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