銀河鉄道999「蛍の街」の考察

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松本零士作の漫画「銀河鉄道999」


1978年から1981年にかけて、全113話がアニメ版としてフジテレビ系列で放送されました。


当時老若男女問わず多くの人達が魅了された作品です。






どの作品もメッセージ色の強い素晴らしい作品ばかりですが、その中でも特に印象的だった物語があります。




第16話「螢の街」




「螢の街」と呼ばれ、蛍のように身体が光る人達が住む星に降り立った鉄郎。


この星では、人の価値基準となる「美しさ」は生まれたときに決まります。


そしてそれが直接貧富の格差に繋がっています。


身体全体が光り輝く人の人生は明るく富に満ちていますが、光が少ない人またはまだらに光る人達は、一生日陰の身となることが運命づけられています。






鉄郎は自身が宿泊している高級ホテルでフライヤに出会いました。


彼女は何か雑用が無いかと鉄郎とメーテルに打診しますが、特に頼む仕事はありませんでした。


鉄郎は、ぼろぼろの靴を履いている彼女を哀れに感じて金貨を差し出しました。


でもフライヤはこう言って拒絶しました。


「わたしは心の中まで貧しくありません。」


何もせずにお金を恵んでもらうことは彼女のプライドが許さなかったのです。






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スラム地区とされる貧民層が住む居住区にフライヤはいました。


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夜になり鉄郎は彼女のアパートを訪ねて、金貨の対価としてフライヤが描いた絵コンテを受け取ることにしました。


強い信念をもって描き続けてきた集大成とも言える作品です。


フライヤはアニメで生計を立てながら、いつかアニメ映画の演出家になることを夢見ていました。






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突然の停電で真っ暗になった部屋。


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蛍のように光を放つフライヤさんが「見ないで!」


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鉄郎は光る彼女を本心からきれいだと感じました。


しかしフライヤ本人から、光る個所がまだらになっている彼女のような身体は、この星では一番醜いということを聞かされます。






ホテルに戻った鉄郎は絵コンテをじっくりと読み、あまりの作品の素晴らしさに感銘を受けます。






翌朝鉄郎は、金貨二枚と共に全ての絵コンテをフライヤに返します。


将来の夢を叶えるために絵コンテが必要だからです。






999が出発する時間が近づいてきたその時、鉄郎はフライヤが暴力を受けているのを見つけます。


暴力をふるっていた最初勢いのあったその男は、勝負を挑んできた鉄郎のその真剣な姿を前に震え始めます。


メーテルが鉄郎を止めてその男を諭します。


光り輝くその身体は宇宙では何の役にもたたないと。






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鉄郎は、ホームでフライヤからプレゼントされた箱を、999が出発してから開きました。


そこには、木彫りの鉄郎そっくりの人形がありました。


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最後にこのナレーションが流れます。


やがて時は流れて、宇宙の多くの惑星で

フライヤのアニメーションが上映された。

そのタイトルの前にはこう書かれてあった。

「フライヤとその猫の名において、偉大な星野鉄郎君にこの一編を捧げる。あなたの友情と勇気を、私たちは生涯忘れない」と。

しかし、鉄郎がそれを見たかどうかは、誰も知らない…。






フライヤは心が美しく才能があり、身体全体が光り輝く人達より努力をし懸命に生きています。


この星の価値基準では醜い貧乏人でも、宇宙という尺度で見れば非常に素晴らしい尊敬されるべき人です。


他の星から来た鉄郎からすれば、まだらに光ることは決して醜いことではありません。






差別とはなんでしょうか?



世の中の差別を全て無くすことは不可能です。


人を認識することが、自分とそれ以外の者しか存在せず、ある意味差別とも言えます。


認識の基準は常に自己が中心となるため、異質なものを無意識に認識しています。


つまり異質な部分が多いほど不安を抱くことが自然です。


差別の根底にあるのは、異質なものを排除する意識です。


さらに、他人を見下すことによって、自分を優位に立たせアイデンティティーを確立するといった見方もできます。


だとすれば、差別を無くす最善策は自己認識を捨てるということ、になります。




でもちょっと待って。




馬鹿げた差別をなくすことは、そんな難しい話じゃないですよね。






「無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり」


古代ギリシャの哲学者ソクラテスの言葉です。




無知であるが故、人を傷つけます。


ある意味で無知は幸せです。でも他人を不幸にします。


知はただの情報で、何かに役立つ知恵とはなり得ません。


英知となって初めて、人を動かすための知恵と勇気を兼ね備えるのです。






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これは何も加工していないメキシコシティの写真です。


この一枚の写真から、唐突に貧富の格差を思い知らされます。


最近頻繁にビジネスで関わることの多いメキシコシティですが、これほど分かり易く貧富の差が表れている都市もそうありません。


「蛍の街」と同じように、差別と貧富の格差は非常に密接な関係にあります。


それは世界のどこに行っても変わらない現実です。






この「蛍の街」のように、多くの差別は無知からくるものです。


そして、心の弱い人間ほど差別をするのでしょう。










鉄郎はフライヤの本質を見ることができる英知を持っていました。


だからこそ、発光による差別に大きな違和感を持ちました。


神回とも言える「蛍の街」ですが、僕と同様にこの物語が好きな方も多いのではないでしょうか?


今、グローバル化が加速するこの世界で、価値観の違いは常に無知から生まれます。


あまり格好つけるつもりはありませんが、知識こそ差別を無くすための最も重要な要素です。




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